第36章 質問コーナー
『実際の所、彼女は光状態になったままでいながら、脳へ光を使用していた。
つまりを言うと、身体に光をかけていながらも、脳に選択して光をかけた状態、すなわち「重ね掛け状態」だった。
だからこそシステムも「脳への使用」か否かの判断が遅れた。
光状態の上に光をかけても何も変化もなく、場所を移動し終わった時に解けるというだけ。
つまり場所を「二度移動してから解除」という認知機能も「ない」。
だから彼女にあったのは、あまりにも絶大な負荷によって現れた「一時的な脳での思考機能麻痺」だったのだよ。
それも頭がぼーっとして思考ができないという程度のものだ。
だがシステムがいずれ認知するのも時間の問題だった。
なので、その彼女が起こした行動自体をなかったように時間ごとリセットさせたというわけだ。
ただし、その間に彼女の手によって生み出されたものまでは巻き戻せないので、動画はそのままとなっている。
記憶には一切手を付けず、VRで彼女というデータを「光を使用する前」の状態に強制的に巻き戻しただけだからね。
それによって、脳へ光を使用する前後の記憶が少々あやふやになっているだろうと思う。
だが、情報を紛れ込ませることに成功したという点だけは記憶しているはずだ。
時間軸ごと巻き戻す形として丸ごとリセットさせたので後遺症もないだろう。
もし記憶が混濁することがあれば、その時は補助してあげて欲しい。
ゲームクリア報酬として脳の状態を巻き戻したが、きっと私が関与したことは忘れているだろう。
だがそれでいい。
彼女のことだ、また私に要らぬ気遣いをするだろうからね』
クレハ「本当に…その通りですね」
『そうそう。
君へのゲームクリア報酬の件だが、君の誕生日にいいものを送るつもりだ。
ケイト君の方にもクリスマスプレゼントとして別に送るつもりだから、期待して待っていて欲しい』
ということがありました。
キリトとアスナにもメッセージが来ていたようで、醤油ラーメンなるアイテムが付与されていたそうで
ゲームクリアの手助けをした報酬だそうです。
ケイトには同じメールアドレスから、こんな一文が送られていたそうです。
『君は死んでいい人間ではない。
一つだけ忘れないでくれ。
君の生き様に心から惹かれていた人物がいたことを。
私に夢を見せてくれて、ありがとう』