第35章 結婚式
ケイト「実はね…
本当は、人に触れるのも怖かったんだ。
アスナと出会って、泣きじゃくるアスナを抱き締めて撫でた時(27ページ参照)、自然と手が震えていた。
でもそれ以上に助けたかった。だから…そっと抱き締めて撫でれたんだ。
人が近くにいるだけで、どうしたって心の奥では震えていたんだ。
どうしたって、近くにいるだけで殴られたり叩かれたりっていう出来事と瞬時に繋がっちゃうから。
だから、人と話せなくなった。
人とは近くにいれなくなった。いたくもなかった。
ずっとそうされてきたから余計にその近くにいるだけでもすっごく怖くって、できないままだった。
抱き締めて動けないようにされてどごすって膝蹴りがくるのかもって、勝手に身構えたり怖いって思いがいつまでも離れなかった。
そういう気持ちに、最近になってから気付いたんだ」
アスナ「そういえば…確かにあの時、手も身体も震えていた。
それに、そんな理由があったなんて…」
ケイト「ずっと…整理が付かないままだったんだ。
伝えるのが遅れてごめんね。
でもね…何でか、クレハの手を取った時は全然怖くなかったんだ。
なんだかとっても楽しくって、もっと触れたい。知りたいって…そんな想いばかりが溢れてきた。
それが生まれて初めてで、衝撃的で…特別に感じて……とっても嬉しかった……//」俯
クレハ「!//」
ケイト「でね…クレハと何日も一緒に過ごす内、抱き締められたり触れられたり、
そうしていく内、段々と人と近い距離にいることも怖くなくなっていったんだ。
私にとって…近くにいるということは、愛情表現なんだ。
傍に居れるようになって、手を握れるようになって、次にハグができるようになって…
できることが、段々と増えていった」