第34章 アメリカ到着
~おまけ・終~
・写真
旅行から二日目の朝、未だに固い周囲に対して私はあるものを取り出しました。
リムジンの中で気分転換にと、昨晩に撮った写真をお見せすることにしたのです。
その中のある写真を見つけた時、シリカは一枚の写真に目を輝かせながら凝視するばかりでした。
それは…月をバックに二人が揃って宙を舞う写真。
ちょうど満月だった為か綺麗に二人の姿が入り切っており、
写真から見て、私は斜め左上を向いて右手のみ左上へ伸ばした状態で月の中の右下に、
ケイトは斜め右下を向いて振り返りながら左手を右下へ伸ばした状態で月の中の左上にいました。
揃って同じ動きをして前へ硬気功パルクールで飛んでいった折、ふとおもむろにケイトが私へ向けて振り返りながら手を伸ばされた時の光景で…
それがあまりに華麗かつ幻想的らしく、非常に高い評判を呼びました。
クレハ「ああ。私とケイトが硬気功パルクールをしていた時のことですね。
あの時は靴の裏の汚れを付けぬ為に足場とする場所を狭い面積のものにするよう配慮しながらのものだったので、普段使わない部分の筋肉まで使ってしまったようです…
今日の早朝にて、起きてばかりの時に突っ張って硬直しかけていた筋肉を軟気功で和らげていました。
隣ではキスをした時の表情のまま、私から離れまいと腕を回したままのケイトがあまりにも可愛らしくって^^//」くすくす
『のろけてる…のろけ切ってる…;』たらーり
周囲から冷や汗交じりに反応に困ったかのような声が上がる中、
私はケイトのことに夢中でまったくもって気付きませんでした。
よくケイトと態度が違うと言われますが知りません。
私にとってはケイトが、ケイトにとっては私が…救いとなった存在なのです。
そしてケイトは何故か…メイド達に私が幼い時の様子や写真などの話に夢中になっています。
メイド長に心を開いたのはきっと、以前のあの会話(1035ページ参照)だけでなく
まだ目覚めたばかりで食が細く、食事がのどを通らなかった時
「よく食べました!クレハ様が心配していらしたのですよ、もちろん私も。
この調子で少しずつ、焦らず、全快を目指しましょう!」
と元気付けられたこともまた仲良くなったきっかけとなったようで
ケイトからすれば、もう一人の母と見ているようです。