第34章 アメリカ到着
丹田と繋がっている状態となって初めて、相当量の硬気功を送り込めるのだそうです。
ケイトの場合、教わった当初にそれがすぐできるようになっており、
それ自身に関しては、10年以上に亘って内気功で体内に内在する「気」を凝気法(脳内のイメージと共に制御する方法)を用いて、常に意識しつつ制御していたからだと語っています。
だからこそ、全身のどこでも意識さえすれば瞬く間に丹田と繋げて気を集約させられるのだと。
思った箇所にいつでも送り込めるというのは便利なもので、痛みが発した際に内へ意識を向けながら制御して集めれば、
意外と傷を負った当初に感じていた痛みが減り、それを感じなくなるまでの時間が大幅に縮みました。
10年以上に亘って研鑽を詰み、毎日続けていたことから制御術はほぼ完璧にまで仕上がっていたそうです。
誰にも教わらず、我流でここまで仕上げたことを伝えられた時
お爺様に「素質がかなり高い」とまで言わしめるほどでした。
実際に実戦をもって確かめてみようという試みが、お爺様によって発せられ
私はお爺様の指示された通り、硬気功を用いた太極拳や少林寺拳法の技をケイトに向かって繰り出してみた所
ケイトは見事に受ける箇所のみを硬気功へと変化させつつ、外気功をしながら最小限の立ち回りで全て防がれました。
それは恐ろしく最小限で無駄のない動きで、適確かつ洗練されたものだった為、異様なほど速く感じました。
その当たる一瞬前に払いつつ使えば、その分身体の負担は一瞬となる為、
硬気功を使うことによる「気の消耗」も少なくて済むのだと、
口でそう簡単に説明されたものの、実践するにも非常に難しいそれに、私は当初悪戦苦闘するばかりでした。
SAOで初めて会った時、見たことの無い武術だと言っていましたが
それは自分の体に合った動きを理解し、身に付けていたからこそでした。