第34章 アメリカ到着
へその下あたり、胸の中央、額の中央。
そこが丹田、つまり気の溜まり場ともいえる場所。
しかし一番多いのは人によっても変わり、私はケイトと同じくへその下の方。
そこと拳に通り道を作るイメージを頭に描く。
そして、そこを通じて流れていく様子を想い描いた後、一気に拳へ向けて急激に流す。
殴る動作に合わせて気を拳へ送り込むようにしながら、殴る瞬間に拳と一緒に出ていくようにする。
その練習もしていたらしいが、硬気功のコツを掴んだらしい。
外へ意識を向けるのが硬気功、内へ意識を向けるのが軟気功らしい。
硬気功は軟気功と比べると濃密で攻撃的、
軟気功は内へ向いており体内へ働き掛ける養生気功とも呼ばれるもの。
そして気功を外へ・他の体内へ送り込む技術が外気功、
逆に外から内へ取り込む技術・体内の気を循環させて制御する技術が内気功。
働きかける方向が内、つまり軟気功だと腹痛をマシにさせるのにも効く上、冬の時でも温かく感じるので非常に有用でした。
そして修業でもまた、体内に意識を張り巡らせる要領で気を集めるよう鍛練を積んでいました。
その為、外に働きかけて硬気功に変質させた後で巡らせるにしてもそれは非常にやりにくいのだそうだ。
なので元々内にある気は全て「軟気功」に分類されるもので、鍛練さえ積めば体内で動かせるもの。
その為、軟気功のままで丹田から手まで繋げて送り込み、指先から外へ出す分だけ「硬気功」へ変質させて送り込む。
その硬気功は武術でも使われており、少林寺、太極拳等々がそれに該当するらしい。
と言っても、それほど詳細を事細かに考えられているのはについては知りませんが…
硬気功と言えば、指先だけで石を割るという石割などが有名ですね。
以上が硬気功へと変化させる際の注意点とコツなのだそうです。
何故その話を今しなければいけないのか、理由を話しましょう。
というのもケイトが言い出したこと。
「パルクールに硬気功を加えれば、もっとやりやすくなるのでは?」という疑問からでした。
硬気功を実践してみた所、自分で力を籠めるよりも非常に強い力で押し出せた。
力を抜いた脱力状態でありながらの硬気功による威力は、石割から簡単に想像がつくでしょう。
ディズニーランド全てを回りやすく、素早く移動できるようにとの配慮からでした。