第34章 アメリカ到着
ケイト「何度も何度も…話しかければひどい目に遭わされるばかりで、諦めるしかなかった。
それが私にとっての当たり前で、常識で、人生で…ある特定の場所で長年学んだことだった。
そこは牢獄(家や学校)で、痛い目に遭うのが当たり前で、ひどく苦しかった。
でも…クレハがいたから、出会えたから
また悪夢で見ても何とか耐えられたし、その傷とも向かい合って乗り越えることができた。
色んな時間を過ごしながら…泣きじゃくりながら……」
クレハ「ケイト…」じわっ
少しずつ明かされていった傷、それに不思議と涙が溢れた。
ようやく明かしてくれたことが嬉しかったか、全貌が見えたことへの喜びなのかもよくは解らない。
それでも…呼びかけずにはいられなかった。
ケイト「幾多の命のもとに、私達は生かされている。
生きていることが、自分一人のものじゃない。一人だけのものにしていいものでもない。
過去に、その今のために、何人もの人が死んでいった。恩師が死んでいった。家族が死んでしまった。
…自分という命は、自己の利益にあってはならない。
遥か遠い昔、人類が生まれたその瞬間から…受け継がれてきた命が、自分で…友で、妻で…今生きている人たちだ。
求めるのをやめろとは言わない。でも…
少しでいいから、目に見えない「大事なもの」に目を向けて欲しい。
それを知ろうともしないで、決めつけて、殺されかけるばかりだったからっ」
ふと涙ぐむケイトに、私はそっと寄り添って頭を撫でた。
すると…そっと抱き締めながら、涙と共に震えながら呟かれた。
ケイト「人は…自分を満足させる為に居るものなんかじゃない。
わかってる。
わかってるんだよ、本当は。
でもさ…なんか、気に食わないんだよ。
見てるだけでイライラする、吐き気がする、心臓が痛い、気分が悪い、止まらない!!
止まらないんだ;止められないんだ;;
実はね…それが嫉妬だって言われたこと、昔にあったんだよ。
一度、頑張って打ち明けてみたんだ。でもダメだった」
その涙を見た瞬間、私は解ってしまった。
わかってもらえず、総スカンのように言葉を吐きかけられてきたことを。