第34章 アメリカ到着
予定時刻から数分遅れてきましたが、これでようやくお話しができますね。
そう思ったのも束の間…
話し合うよりも以前の時点で、既に先方の参加したいという決意は固まっているようで
長年の課題でもある病気、「HIV」の根治の為の研究会に是非参加させて欲しいとの旨を告げられました。
それに加え…私とケイトのサインを欲しがられました。
結果、商談に挑む気構えで頑張るつもりだったのですが…
あまりにも簡単とも思えるそれに、拍子抜けするばかりでした。
羽田までのプライベートジェットでの帰還は共に移動。
そこから研究施設への移動手段とそれに伴う必要経費は先払い。
こうして、肩に入れていた力をよそにとんとん拍子で進んでいき、瞬く間に平穏無事に終わりました。
ケイト「…なんか…たった5分で終わったね」
クレハ「そうですね…あの気構えは一体何だったのでしょう;」ずうん←1083,1087ページ参照
爺「じゃからそんなに肩の力を入れんでいいと言ったろうに」溜息
『それでも何かしらちゃんとすべきものだと思うでしょう!』
爺「ほっほっほっ。ちゃんと説明したろうに」
ケイト「それでもなんか心配になっちゃったんだよ;」
クレハ「もしやその心労も込みで?」
ケイト「うん…
さっきのお爺様の予測も実は当たってるんだよ。
あれを見て、ビデオを通じて…一気に世界へ意識が拡がって…引っ張っていかれて…
自分一人がおかしなように感じて、それでも吐き気は止まらなくて、気分悪くなるのは変わらなくって…
それになんか…不甲斐なくも感じちゃってさ」
クレハ「いいえ。
ケイトが感じていたことは、私も感じていたことです。
何かしら不快感を呼び、変な感覚にとらわれていました。
詳細に関してはケイトと出会い、話し合うまでは気付きませんでしたが…
やはり、到底耐えられるものではありません。
身内を人為的な…殺しという手段で奪われた側としては。
その立場と、当時に味わった気持ち…
それらを考慮しても、どうあっても拭い去れないものです」
ケイト「それは…そうなんだけど…さ」俯
また痛みが発しているようで、顔を歪めながら俯いた。