第6章 ギルド
彼女の功績を上げていくと、それは多岐に及ぶ。
二本で一組の短剣、《双短剣》は『攻略組の象徴』とも言われるようになった。
各々の力を合わせれば、可能性は無限に広がる。
あり得ない武器や防具でさえも、実現するほどに…
その本来ならしないであろう行為によって生み出されたそれで
数々の偉業を成し遂げた。
108個もの素材を1つの装備としたり、《セリオン防具一式》という『後の75層ボス、ザ・スカル・リーパーの3連続攻撃』を防ぎきるほどの『とんでもない防具』を開発したり、第7層ボスを瞬殺させる『双刃』という双短剣を生み出したり、それに伴って《双短剣》というスキルを生み出したり
分解という手法を結晶無効化エリアの壁へ用いて『元となる素材』を採取したり、自身が作った建物と合成して『結晶無効化エリア』として回廊結晶による犯罪行為を抑止したり、
この世界での生き抜く術、戦術、完全な安全地帯、娯楽、スポーツ、勉学…
無料宿場でも、登録した本人でなければ入れない部屋、雑談できるロビー、新たな道の手段の開発。
ロビーの件はおそらく、盗み聞きを配慮してだろう。
自身の部屋だと盗み聞きをされる可能性は高いが、複数人数が集まって各々が言葉を発し続けていると、それに伴って『特定の相手』の言葉は聞き取り辛くなる。
無料宿場は今でも好評で、宿よりもそちらがいいと入居者を希望する者が後を絶たない。
特に、料理全般のコンプリートはいい。凄く…
醤油ラーメンが好きな私は、それに見事につられてしまった。
そう、一人で物思いにふける中
私はアスナ君に手を取られ、引っ張られた。
アスナ「行きましょう、団長!!」
ヒースクリフ「あ、ああ;
副団長を任せてもいいかね?」
アスナ「任せて下さい!
一週間は口きいてあげないんだから!」ぷんぷん
頬を膨らませるアスナ君に、私は苦笑した。
ケイト君になかなか会えないばかりか
実際の所、彼女は過労まで起こすほど頑張り続けていた。
だが、彼女は気付いていなかった。
取り組むことで、周囲とは疎遠になっていたこと。
それらに気付かないまま、本人たちが楽しんでさえいればという考えによって起こしていたそれに…
『一緒に楽しめなければ意味はない』という思いが、アスナ君の中に生まれたことも。