第33章 アメリカへ
ケイト「私は…本当なら味わうはずがないことを、味あわせたくないんだ。
あの痛みも、傷も…本来なら味合わなかったのなら…それをわかってて、加えるなんて嫌だったからっ」涙目
クレハ「なるほど…
それほどの想いがあって、経緯があって…その在り方に至ったのですね」
周囲でグスグスと音が聞こえてきますが、知らない振りをしましょう;
当のケイトはうまく伝えようと頑張るあまり、気付いてないようですし;
ケイト「…私さ、人にそういう目に遭わせるぐらいなら、同じ思いをさせるぐらいなら、自分を殺したかった。
それぐらい、その傷が大きかったから。経験も時間も、絶対に返ってこないから。やり直しなんて出来ないから…
余計に、そう強く思ったんだ。
だから…人を傷付けるのも、本当に嫌だったんだ。殺しはもっとさ」
クレハ「だからラフィンコフィンの団員に刺した時、あれほど泣いていたのですね」
ケイト「うん…うまく伝えられなくて、ごめんね。
すぐ伝えられれば良かったんだけど、私…口下手でさ。語り切るまで時間がかかっちゃった;」
クレハ「いいえ。あなたの事情を知っていれば理解できます。
人に恐怖を抱き、声が出なくなった後遺症も知っています。
だからこそ自ら会話して伝える等という経験が少なくなってしまったのでしょう。
今から鍛えていけばいいのです。というより、あなたはちゃんと意図を伝えれていますよ?
時間がかかるというだけで、それで理解を得られないなどということはありません。
堂々と、自分の言葉を伝えてくれればいいのです。
言い辛かったでしょう。
過去に味わった痛みだからこそ、余計にフラッシュバックの想起にも繋がり、言うだけでも苦しかったはずです。
それでも…その恐怖も痛みとも向き合った上で、ちゃんと伝えようとしてくれたこと、とても嬉しく思います^^」
ケイト「ぶわっ)…っ;」
今にも零れ落ちそうになるほど目に涙をためたケイトに、その頭に手を乗せて私の胸へと引き寄せた。
クレハ「こういう時ぐらい、素直に泣いてもいいんです。
私の時だって受け入れてくれたでしょう?
あなたが言ってくれたように、私もいつだって付き合いますから」
ケイト「っ~~~;;~~~~~;;;」
堰が切れた涙は簡単には止まらず、それほど我慢していたのだと伝わってきました。