第33章 アメリカへ
ケイト「あのね…クレハ。
実はね…
私、人を呪い殺したいぐらい憎んでるんだ」
クレハ「え!?」
ケイト「私…それぐらい憎んでる。
理不尽に言い続けて好き勝手に言い広めて、周囲と一緒になって貶めるようふざけて言い続けてくる。
それだけのことでも、一人として味方いないから。
周囲VS自分一人だから、余計に痛かった。辛かったんだ…針のむしろの上に無理やり立たされ続けているような感じで。
とっても、悪質なものばかりだったよ。一種の洗脳に近いものだと思う。
家でもそうだった。理不尽な暴力で支配されて、いい聞かされてきた。
所有物なんだから殴られて当然なんだって…
だから、そんな扱いを受けることが普通になった。
自分にとっての「普通」は、人からそういう理不尽な目に遭わされることだったんだ。
でも、その痛みを知るからこそ与えたくないって気持ちの方が大きかった。
助けられない側の痛みを知るから、助けたいって気持ちがより大きく膨らんだ。
だから…助けたいって、SAOのデスゲームの時に感じた。
それでも助ける為にはそれ以上の力がいる。そして希望となる何かが必要になる。
生活していく上で必要になるのは衣食住だから。
私もおいしい食事を食べたいから…レベ上げと料理にまい進したんだ」
クレハ「…そうだったのですか」
ケイト「うん。
それでも、自分の中のその「普通」は変わらなかった。
でも…違うんだって、クレハ達と過ごすようになって…変わったんだ。
死んで欲しくなかった。ただそれだけのはずだった。
それが…段々と知り合いが増えていって、友達になって、たくさんの人が…信じて、寄り添ってくれた。
気付けばでっかいギルドになって、自警団みたいにしたいって言い出した時…付き合ってくれた。クレハもグレイクも…助けた人達皆…(震)
その人達は一様に言うんだ。助けてくれてありがとうって、止めてくれてありがとうって…
おいしい食事、いつでも持ってきてくれて…そのお陰で生きたいって思えたって…
やりたいことを見つめられるようになれた、前向きになれた…って。ひっぐ;;」
鼻声で、その顔はとても見ていられないほど涙でぐしゃぐしゃで…
嬉しさだけでなく、それまでの「ケイトにとっての普通」と違いを強く感じさせられたのでしょう。
今度は助けられたのだと。