第33章 アメリカへ
ケイト「ううん!ううん!
クレハの方だよ、助けてくれたのは!
同年代でそんなの…初めてだった!
だから……だから!
あんなにまで歪んでた、人なんて助けてくれないって決めつけてた私を
愛してくれて、認めてくれて、優しく教えてくれて…いつも、ちゃんと聞いてくれてっ
ありがとうっ」ぼろぼろ
クレハ「ケイト…」
ぎゅううう
そう何度も何度も唇を重ね合わせながら抱き締め合う中、ケイトはそっと囁いてきた。
ケイト「信じることの大切さを教えてくれたのは、クレハなんだよ?」ぎゅううう
クレハ「私もです」
そう言って抱き締めた後、少しだけ顔を離してクラインへ向けて言い放った。
クレハ「クライン…私は、本当はあなたが羨ましかった。
なんの気兼ねもなく結婚できるあなたが…
男性として、平然と周囲からケイトと結婚する相手と見られることも
ケイトと普通に共にいられることが。
私にはないものを持っていたから…
余計に…幸せにできるなど、認めたくはなかった。
私が、守りたいと心から願った、大切な最初の人だからっ
でも…グレイクとの結婚式の時、否が応でも気付いてしまった。
私はどうあっても、ケイトと結ばれたいのだということを。
結ばれないのだと考えるだけで、心が張り裂けそうになるばかりだったから…
どうしても、見て見ぬ振りなどできなかった;
ケイト以外なんて…考えられなかった;」
クライン「なるほど、そうだったのか。
そりゃあ…お互い、互いのことしか眼中にねえのは解ってたけどよ」納得
ケイト「私だってそうだよ…;
男の中で、初めてだった。
助けてくれたのも、大事に想ってくれたのも、怒ってくれたのも…
全部、初めてだった。暴力を振るわれないのも、傷付けられないのも。
だから…男性の中で唯一恋に近しい思いを抱いた。
でも…やっぱり、自分の中の一番はどうしたってクレハなんだ;
私も、結婚式に送り出す時にわかったんだ。
ちゃんと、耳を傾けてくれた。見てくれた。愛してくれた。
自殺しようとしたら怒ってくれた。思い詰めたら励ましてくれた。
沈んでものされてても…変わらず、愛してくれたからっ;(ぼろぼろ)
クレハ以外、考えられなくなったんだ;;」
声を詰まらせながら打ち明ける中、涙が零れ落ちるばかりだった。