第33章 アメリカへ
クレハ「ケイト…独りじゃないと教えたくれたのは、他でもないあなたでしょう?
私は…それまで、人というものに絶望していました。
外見や目に見えるものしか…それにしか目を向けられず、差別の対象とする存在だと思い込んでいた」
その脳裏によぎるのは幼き日のこと
外人のような見た目から「日本語しゃべれるの?」と敬遠され
好き勝手な偏見を抱かれ、いじめられていた当時のこと。
クレハ「いじめられ、あまつさえ学級崩壊の要因としていじめっ子に祭り上げられ、退学されられた経験もありました。
それに加え、優しくされれば付け上がり金を要求する方もいた、財産を奪い取ろうとする方もいた、
あまつさえ父に至っては財産狙いの結婚でした。
母の死の時も、お通夜の時も、葬式の時もっ
そういった財産欲に満ちた人達が群がり、コバンザメのようにおこぼれにあずかろうとする人が非常に多かった。
お母様の信じた人とは一体何だったのか…
そんな人達でさえも、何故大切に想わなければいけないのかっ…
ベッドの中で母の死を嘆きながら、枕を濡らしながら何度思ったことかっ!(震)
そういった想いばかりが、私の心に渦巻くばかりでした。
だからこそ…どうしても……そういった主観を消せなかった。
長い付き合いのメイド達にでさえ、心を開けなくなり…
塞ぎ込むように、部屋に閉じこもりがちになってしまった。
昔のように笑えなくなり、楽しい日々等過ごせなかった。
人といて楽しい等…感じたことはなかった。
感じることさえも、できなくなっていた。
けれど…あなたが真っ直ぐにぶつかってきてくれたからこそ
たくさんの人の中へ連れ出してくれたからこそ、私はその先入観を払うことができたのです。
優しい人達と触れ合い、じゃれ合ったり、バカなことを一緒にしたり…
私…血の繋がらない人とあんなに楽しいことをしたのは、初めてだった(ぽろっ)
あんなにたくさんの人達を纏めて、一緒に遊んだり、イベントごとを楽しんだり…祭りごとであんな風に騒ぎ立てたり…^^
そういった経験があったから…
あなたに出会えたから…
本当の意味で…家訓でもある『慈愛』を理解できた。取り戻せた。
今の私があるのは、あなたのお陰なんです」微笑&涙