第33章 アメリカへ
ケイト「クレハの家の…歴代の人達がいてこそ
その一人一人の慈愛を持って紡ぎ合ってきた歴史があってこそ
人と人同士が繋がり合って、支え合って、孤児で敬遠された人達の助けをして、その人達がまた自分を助けてくれて…
その積み重ねあってのものなのに…目の付け所がずれてた。
私と来たら、頭が吹き飛ぶぐらいの衝撃の金額にばっかり…
そういう助けられた人達の、助けた人達の…
たくさんの人の想いの結晶なのに…それにしか目がいけなかったんだ。
だから、本当にごめん!
私がやったことは…
その想いを無視して、侮辱したのも同じことだっ!
人として、最低なことっ!!;」涙震
頭を下げたまま、涙を流すケイトに…私はそっと頭を撫でました。
クレハ「違うんです。顔を上げて下さい」
ケイト「?ぐすっ」
鼻水をすすりながら、その促しに流されるままケイトは顔を上げてくれた。
私はその目を真っ直ぐに見つめながら、ケイトがしたように心に抱く純粋な思いをぶつけました。
クレハ「私は、謝って欲しくて言ったわけじゃありません。
ただ、その人達のそれまで見えないからと蔑ろにしないで欲しい。
そういった想いがあったからこそなのです。
だから…それさえ知っていただけたのなら、その上での今なのだと解っていただけたのなら
それだけで十分なんです。
だからケイト…そんなに泣きじゃくって謝らないで下さい。
ほら、顔を上げて」
ケイト「でも…でもさっ(ぐすっ」ごしごし
その言葉に対して、鼻水をすする音、すすり泣きがそこかしこから聞こえる中
私は乱暴に涙を拭くケイトの手を掴んで止め、そっと右手で涙を拭いました。
私はただ、伝えたかった。
それほどに責めて、ぼろぼろになるあなたを見たくはないのだと…
それ以上に、あなたという存在に救われてきたのだと――