第33章 アメリカへ
そうして屋敷を案内していると…
「ばかねもち…」という声がどこからか響いてきました。
クレハ「そう言われると心外なのですが…;」
『え?;』
クレハ「第一…
これらは全て、助けて助けられての繰り返しで成し得たものです。
なりたくてなったわけでもありませんし、むしろ助けて下さった方々が多かったからこそです。
結果的に金持ちになったとはいえ、それよりも助けとなって下さった人達への恩の方が大きく感じています。
なので結果だけ言われるのは心外です。
寧ろこの財産のことを言うのならば、助けて下さった方々のことを無視して言わないで下さい。
そうしてさえくれれば、どんな言葉だとしても受け入れます」
ケイト「…ごめん!そういうつもりじゃなくって;」
クレハ「ええ、わかっていますとも。
ただ…ここまでの財を築き上げるのに、そういった私利私欲の為に頑張ってきたわけではない。
目の前の苦しむ誰かを助けたい想いからのことなのだと、忘れないでいただきたい。
あくまで『慈悲』を、人としての『心』を忘れたくないという行為の積み重ねによること。
私はそれを忘れたくはない。
そういう個人的な主観から、その結果ばかり言われることに抵抗を感じただけです。
歴代の方々もまた、そのようにして子へ孫へと受け継がれてきました。
だからこそ…余計に、そう思ったのです」
そう母からの教えを思い出しながら、目を伏せながら伝えると…
『ごめんなさい!』ぺこり
全員からそろって頭を下げられました。
クレハ「あの…そうして欲しくて教えたわけではないのですが…;」
ケイト「ううん…本当に馬鹿だった…
成り行き上、お金持ちになったってだけなのに…
孤児達を助けたくて、一人じゃないって伝えたくて助けてきたのに…
それよりも、見たことの無い金額の方にばかり目がいってた。
その金額から生み出されたものにばっか目が引き付けられてた。
見たことなかったから、余計に…
でも、クレハにとっては違うんだよね」
どこか涙を浮かべながら、頭を下げたままケイトは言葉を続けた。