第31章 帰還
お爺様がお婆様にぞっこんだったのは知っています。
そしてお婆様に私が瓜二つだったのもまた知っています。
ですが、これほどまでに言われると…;
今年97歳になるという高齢ながら、病気になったことは未だにないというお爺様にまで、ついついと過激なツッコミを入れてしまいます…;
80年前↓
爺「結婚を赦して下さい!!」
「いいや、赦さん!!」
爺「何故ですか!?」
「我々は日本人だ!!
この血を持って、誇りを持って、1500年にも渡って研鑽を詰み!
今ここにある『飛流』という名の武術へと辿り着いた!!
だというのに、何故外国の者などと!!!」
爺「…日本だけでは、狭すぎるんです」
「!
なんだと?」眉をひそめる
爺「今の日本は、外国からすれば非常に小さく弱い!
それは外国においての外交で、各地様々に存在する戦い方や技術を学ばない点にあります!!
日本人の誇りが何ですか?渡来人などの血も含まれていることだってあります!
何を定義として、日本人だと言っているのですか?
そんなことを気にして、強くなれるほど単純なものなのですか!!?
少なくとも私は!そんなものを気にしていて、強くなれるとは思えない!!
外国にある数多の技術、それをも学び、それら全てを超えていく!!
そうでなければ、子はおろか孫さえも護れない!!
これからの子孫を護るため!私は、この武術を何ものをも揺らがさないものにしたい!!
無粋な孫ですみません!父が死んだことも承知の上でお頼みします。
どうか、結婚を赦して下さい!
そしてこれから生まれるだろう子、孫、子々孫々の為にも!!外国での修業を御赦し下さい!!!
きっと!きっと、全世界の何者にも負けない、『最強の武術』にしてみせます!!!!」
そう土下座で頼み込んでいた光景が…ビデオが、未だに残っていた。
その若きお爺様の動画を見た時、本当にカッコいいと思った。
私も、その武術を引き継ぎたいと思った。
その生まれ持った見た目は、確かに外国人の者。しかし、日本人であることには違いない。
ここで生まれ、ここで育ち、生き抜いてきた日々が、そう証明しているのだと母は語った。
武術は衰退の一途を辿っている。
それでもそれを盛り返す為、強くなろうと誓った。
ですが今のお爺様ときたら;