第31章 帰還
キリト「そこにいるんだろ?ヒースクリフ。
生きていたのか?」
『そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。
私は、茅場晶彦という意識のエコー…残像だ』
アスナとケイトをログアウトさせた後
茅場が現れ、助けた代償として俺にあるものを渡してきた。
『それは世界の種子、《ザ・シード》。
芽吹けばどういうものかは分かる。
その後の判断は君に託そう…消去し忘れるもよし。
しかし、もし君が、あの世界に憎しみ以外の感情を残しているのなら…』
その声と共に去っていった茅場に、俺はログアウトを選択してから
アスナの病室へ向かって自転車をひたすらにこいだ。
あの夜に300人の未帰還者は無事に帰還を果たした。
しかし、この事件でVRMMOは回復不可能なほどの打撃を受けた。
ALOは運営中止に追い込まれ、その他のVRMMOも中止は免れない状況に…
そして当の茅場はSAOがクリアされた日に、SAO崩壊と同時に自分の脳に大出力のスキャニングを行って死んでいた。
ネットに自分の意識をコピーする行為…だが、成功の確率は1000分の1にも満たないものらしい。
だが、茅場の意識はネットにあると考えた。
ケイトとキリトの実体験から、それは事実なのでしょう。
その帰還から3か月あまりが経った後
4月にはSAO帰還者学校なるものが建てられており、そこにはSAO事件の被害者達が集められ、通うことになっていた。
その時点で茅場から託された《世界の種子》をエギルに解析してもらっており
世界の種子とは《ザ・シード》という茅場が開発したフルダイブ型VRMMO環境を動かすプログラムパッケージだと判明。
そこそこのサーバーを用意できれば、誰もがネット上に異世界を作れるという代物だった。
そしてキリトはエギルに頼み、誰もがザ・シードを使えるようにネット上にアップした。
それにより、衰退するはずだったVRMMOは息を吹き返し、今ではALOも新しい会社によって運営されている。
そして2025年5月中旬に入った時、オフ会が行われることになりました。