第31章 帰還
ケイト「…」
ピッピッピッ
電子音が響く中、微かに目を開けると…
そこは薄暗く、月明りがあたりを照らしていた。
ベッドに寝かせられているようだが、そこは天蓋付きで
少しだけ頭をあげると、その壁の所に一枚の写真が見えた。
あまりよくは見えないが
私とクレハらしき人が中央でトロフィーを掲げており
その後ろで誇らしげに、白い大きなライオンが翼を悠々と拡げている所から
優勝決定戦が終了した後に撮った写真だと解った。
時刻を確認すると、ちょうど21:00へ変わった所で
頭に違和感を感じて、それを取ろうとした時…左手に温もりを感じた。
ケイト「!」
クレハ「…ん」
眠っているようで、それでも未だ左手を強く握り締められていた。
ケイト「…クレハ?」
そう問いかけながら、そっと頭を撫でた。
すると、いつものようにくすぐったそうに身をすくめた。
クレハ「…?」
ケイト「気持ちいいな」ぼそ
そう呟いた瞬間、跳び上がるように起き上がった。
左手は変わらず、離さぬまま…
ケイト「!」
クレハ「…ケイ、ト?」
ケイト「…^^」頷
クレハ「随分と、待たせるのですね」微笑&涙
月明りの中、口角をあげて笑みを浮かべる頬へ、雫が一筋落ちるのが見えた。
ケイト「待たせて、ごめんね」苦笑
クレハ「いえ…いいのです(自身の左手で涙拭)
帰ってさえ、来てくれればっ」ぎゅっ
目を瞑りながら、私へ縋るようにそっと抱き着いてきた。
ケイト「…ただいま、クレハ^^」
クレハ「おかえりなさい、ケイト^^」
そう笑いかけ合った後、自然と互いへ引かれ
そっと、薄暗い部屋で唇を重ねた。
それが、私とクレハの再会で…
現実へ帰ってからの、最初の時間だった。