第31章 帰還
内容はこうだ。
『助けてくれ。
私はSAOをクリアした者、名前はSaiver。
SAOをクリアして現実に帰ってきた人がいるなら、力になって欲しい。
私は未だ、VRMMOに捕らえられている。
300名ほどがまだ、アルヴヘイム・オンラインALOに作られた実験場で隔離され、このようなことをされている。
《証拠となる写真、ファイル、動画再生》
動画、写真、証拠は以上だ。
頼む。どうか…どうか、助けて欲しい』
総合して1分30秒の短い動画、だがその証拠を全て叩き込んでおり
警察が動くには十二分過ぎるぐらいの情報量だった。
アルヴヘイム・オンライン、そのゲームの名はミーすけから教えてもらった。
アルヴヘイム・オンライン、略称ALO
その広告のそれからこの情報が流出していくよう光で届けて欲しいと伝えた。
光速で再生されるのではなく、光速で紛れ込ませるのだから
それを除去するまでには時間がかかるだろう。
それを想定して送ったのだが、それは見事に当たっていたようで消されるまで5時間以上を要したようだ。
作り終えるまでが非常に大変だったわけで、以前に話し合った時に危惧したように
脳内が麻痺したようで何も考えられず、どうにも身動きが取れなくなってしまった。
そうしてベッドで倒れ伏す中、ミーすけに辛うじて渡してから意識が文字通り飛んで、暗闇の中へ意識が吸い込まれていくのを感じた。
その時刻は15時半。
SAO以外のVRMMOはALOだけとのことで、偶然にもクレハが興味を持って調べていた時だったらしく
それを最初に見つけたのは無論クレハであり、それを拡散と同時にツテを伝って周囲へ広めたらしい。
その動画をコピーしてニコニコ動画やYoutube等のあらゆる有名所のサイトへも上げつつSMS等でも拡散。
挙句の果てには、クレハの家のツテに伴ってテレビにまで緊急速報として流すよう指示されたそうで…。
無論、それが周知の事実となった16時時点で菊岡や警察達が黙っているわけもなく、せわしく動き出し
ALOの責任者かつ管理者でもある須郷を逮捕する為
道路の封鎖から始まり、須郷の居場所を突き止めることへと繋がった。
その頃の外では雪が降っており、夕暮れになっていた。