第30章 ゲームクリア
彼がケイトへ何を囁いたか、その声は周囲には届かぬままで定かでなく
それに驚きの表情をケイトが浮かべる中、彼はキリトへ静かに向かいながら立ち上がった。
不敵に笑みを浮かべて…
キリト「なるほど…この世界に来てから、ずっと疑問に思っていたことがあった。
あいつは今、どこで俺達を観察し世界を調整しているんだろうってな。
でも俺は単純な心理を忘れていたよ。どんな子供でも知ってることさ。
他人のやっているRPGを傍らで眺めるほどつまらないことはない。
そうだろう?茅場晶彦」
ヒースクリフ「ああ。
ちなみに、クレハ君やケイト君を対戦相手に選ばなかったのは光を使えるからに他ならない。
たとえ使ったとしてもこちらも使うまでだが、やはり経験の差がある。
やはり対戦相手は同じSTR寄りでないとね」
キリト「つまり…ご指名ってことか」
ヒースクリフ「そういうことだ」ふっ
彼は笑いながらキリトへ全損決着のデュエルを提示し、彼はそれを受諾した。
ここでヒースクリフを倒せばゲームはクリア。
単純な話ですが、非常に難しい件です。
キリトは決闘に臨むも、相手はSAOを知り尽くしたゲーム制作者である以上、システムに頼るソードスキルは通用しない。
ならば自分の腕だけで戦うしかないが、チートをしなくてもヒースクリフは強く
それに気圧されてしまったキリトは、思わずソードスキルを使ってしまう。
無論ヒースクリフはソードスキルを悉く防ぎ、カウンターの一撃で勝負が決しかける。
キリトが殺されようとした時、その前に出て庇ったのは麻痺で動けないはずのアスナだった。
『!!!!!』
それに周囲もまた驚きを隠せない中
アスナのHPは瞬く間に減っていき、0になったのが見えた。
キリト「ウソだろ?アスナ…」愕然
アスナ「ごめんね…さようなら」微笑&涙
寂しそうに笑みを浮かべながら小さな声が響く中、HPが0になってから3秒が経った。
ケイト「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
その瞬間、麻痺であるのにも拘らずケイトは絶叫と共に立ち上がった。
その時、一つの明らかな変化に目がいった。
そう…誰が見ても解る変化が。
全身が光による白い光に包まれるだけでなく、その両の目の瞳が黄色に輝いていた。