第30章 ゲームクリア
その結果を前に、全員が歓声を上げた。
やっと帰れる、その想いを露わにした瞬間でした。
ですが…
クレハ「おかしい」
ケイト「?どうした?クレハ」
クレハ「いえ。
本当にクリアされたのならば、今すぐにでも帰されていてもおかしくはないはず。
だというのに、何故未だに変化は訪れないのです?」
『!!!』
そういえばそうだ。
誰もが思案顔で、そう言うかのような驚いた表情が目の前に次々に現れた。
そう釈然としないまま、疑問をぶつけると…
意外な形となって現実へと現れた。
100層ボスクリア、その後…ヒースクリフが牙を剥いたのです。
突如、ヒースクリフのメニュー操作でその場にいた全員が麻痺状態にされた。
キリト一人を除いて…
キリト「!!どういうつもりだ!?」
ヒースクリフ「…どういうつもり、か…
それは、考えた時にでもわかるものではないかね?」
キリト「!!…まさか…お前が」
ヒースクリフ「ああ、お察しの通りだ」
キリト「ぎり)…茅場、晶彦…なのか?」
『!!!!』ざわっ!!
なるほど、明かすことにしたのですね。
それに、何故クリアしてもなお解放されないか…
きっとそれは…『本当のボス』が「まだ」決まってなかったからでしょう。
その時になってようやく合点がいった。
クレハ「なるほど。そういうことですか」
キリト「!」
ヒースクリフ「聡明な君のことだ。考えを聞かせてくれるかね?」
クレハ「簡単なことです。
本来ならば100層ボスとして95層クリア時に明かした後、攻略組を離れるつもりだったのでしょう。
ですがそれをしなかったということは、未だ100層ボスが『先程のボス』か『ヒースクリフ』か決定しないまま。
つまり、『どちら』が真のボスかシステムは明確に認知していないという事。
敢えて言うなれば、両方が共に倒された時にこそ100層ボス撃破がシステムに感知されるのでしょう?」
ヒースクリフ「ふふっ。
流石だよクレハ君。正解だ(黒笑」ふっ
クレハ「お褒めに預かり光栄です」汗&苦笑
予測を立てて言った所、その当たって欲しくないそれは正解だったようで
倒れ伏したままの状態では、苦い笑みを浮かべることしか出来ませんでした。
そんな折、彼はケイトへ跪いて二言三言囁いた。