第5章 開拓者
ケイトの役割は、主に引き付け役に始まり
怪我人の守護から、合間があれば耐久値が下がった人へメンテナンスを行ったり
フォローが間に合わないほど危なくなった人への合間に入って、攻撃を防御する防御型をしたり
指揮役の補助、後衛の吟唱スキル持ちの近距離攻撃の護衛に至るまで…
それこそ、状況に応じて幅広く行っている。
ケイトは予め回復薬の人へ渡していたので、回復結晶で回復してもらう。
遠くの攻撃に向いている人が多く、投擲をコンプした人が比較的多い。
ケイトが作った投擲用の武器は
結構な攻撃力とノックバックを持っているので、容易に引き付けることも可能。
だが、ボスはそんなにすぐに駆けつけられない上に
駆けつけようとしている間に猛攻が決まるので、そちらへヘイトが移って行かなくなる。
といったことを利用しているので、安全が確立されている。
その戦術は隙が無く、無駄もないことから非常に好評で
死人が0であり続けるのに貢献していることから、軍師などと言われることもあるが
やはり戦闘において右に出るものはいなかった。
ちなみに、あれから双短剣のスキルは出していない。
強力過ぎて経験値やドロップまで全て独占してしまうことになりかねないから
それを周囲へバランスよく与えるためというのも理由に入っているそうだ。
7階層突破後、ケイトは自身が編み出した戦術をもとに作った
ボスへの立ちまわり方などの攻略法を周囲へ教え、導き
経験値もドロップも、参戦した人全てへ均等に行き渡るようになり
さらには死人が0になるだけでなく、怪我人自体も遥かに数が減ったことから
『ボス戦におけるデメリットは、全てなくなった』と言えるほどまでになった。
そのようなあり得ない発展を遂げた後、ケイトの行動は変わった。
持ち前のAGIで迷宮のマッピングを全て終えてから、データを希望者へ配布し
それからは、前に言ったように悪質なトラップ部屋がない限り、ボス戦以外では迷宮に赴かなくなった。
閉鎖する必要があるほどのものの場合は
そのためにトラップ部屋へほぼこもりきりになって、閉鎖テープの資金を稼いでいた。
そんなことを思い出している内に、俺達はケイトが作ったという施設へとついた。