第4章 中華な翔ちゃん
翔side
せっかく綺麗に割れた卵を、菜箸とやらで混ぜてしまうのは、少々残念な気もしないではないが、これも美味しい炒飯をつくるためなら…仕方ないか。
しかし雅紀の奴、ずっと俺の手を握っているけど…
そんなに俺って下手くそ‥σ(๑• . •๑)?
まあでも、雅紀がこうして手を握ってくれていると、安心感があることは確かだし、失敗することもないだろうし…
「じゃあそろそろ炒めていこうか」
雅紀がコンロにフライパンを用意して、火を点け油を注いだ。
「油が跳ねるといけないから、翔ちゃんは俺の後ろに隠れてて?」
それまで俺の後ろにいた雅紀が前に回り、俺の盾になるように立った。
どキュン♥
ん?
今のは何だ?
胸の辺りがこう…キュッとなるような…
なんだろう、この感覚…
「まずは卵から入れてくよ?」
「お、おぅ…」
ボールの中の卵を、雅紀と一緒にフライパンの中へ流し込んでいく。
ジュワジュワ~と音を立てる卵を見ながら思う…
これじゃあまるで、愛の共同作業みたいじゃねぇか…σ(//ω//)
自然と顔が熱くなるのを感じて、俺は蛇口から水を出すと、顔をバシャバシャと洗った。
「どうしたの? 油飛んだの? 火傷した?」
フライパンを投げ出し、雅紀が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。