第8章 アカデミーな相葉ちゃん♥
「あの~、”俺一人”ってことは、その…」
何だこの男…(*-ω-*)
見た目は背もそこそこあって、顔だって悪くはないが…、もしや頭はお花畑状態なのか?
まあそれでもいい。
何か秀でた部分があるのは確かだから。
そうでなければ、私のこの映画監督としての勘がビビビッと来る筈はないんだから。
「一人だからってそう緊張することはないさ。君は君の思う演技をしてくれれば、それでいいんだから」
「は、はあ…。で、あの…、台本とかは…」
ク、( -言- )ククク
だから素人は困る。
すぐに台本なんて物に頼りたがる。
「台本はない」
そもそも一人しかいないのに、台本に何の意味があるって言うんだ。
他のキャストとの掛け合いもなければ、セットだって目の前にあるこのベッド一つだ。
仮に台本があったとして…果たして開くだろうか?
答えは”否”だ。
故に、私の演出には一切の台本は必要ない。
「じゃ、じゃあ俺はどうしたら…」
「まあそう焦るな。今から一通りの流れを説明するから。先ずは立ち話もなんだから、そこに座ってくれたまえ」
私は埃の被ったパイプ椅子を広げて、そこに相葉雅紀を座らせた。
「まず君の役名だが、役名は…ない」
そう…、この映画に役名なんてものは必要ないんだ。