第5章 Ze~ro~な智くん
翔side
手を繋いでスタジオに入った俺達に、スタッフが駆け寄ってきて、クリップに挟まれた分厚い原稿を差し出してきた。
表紙にはご丁寧に、”櫻井用”と”大野用”と書かれている。
「どうも」
と軽く礼を言ってそれを受け取った俺は、中をパラパラっと捲った。
毎週のことだから、慣れてっるちゃ慣れてるけど、流石にこの厚みには気が滅入りそうになるε-(´-`*)
しかも今日は町尾さんの分もあるから、いつもより厚い気がする。
「ね、ねぇ、じょおぐん…、ぼぐ…、どおじよう…」
智くんが受け取った原稿を手に、呆然とした顔を俺に向ける。
そりゃそうだよね…、智くんが慣れてないもんね?
「だ、大丈夫だよ。ほら、読むだけだしさ…。それにほら、こういうのってさ、ニュアンスが伝わればいい、っつーかさ…。
なんとかなるって」
「で、でぼ…」
「あ、ねぇ座って練習しない? そしたらさ、雰囲気掴めるでしょ?」
俺は智くんの手を引いて、キャスター席に座った。
勿論、俺はいつも町尾さんが座ってる席へ…。
で、智くんは俺が座ってる席へ…。
「よし、始めるか」
俺達は同時に原稿の表紙を捲った。
でも…
「じょおぐん…、ふぁ~…」
一分と経たないうちに隣でウトウトし始めた智くん。
うわぁ…、不安しかねぇ…(;^_^A