第5章 Ze~ro~な智くん
翔side
まさか智くんが…、なんて全然予想もしてなかった。
だって考えてもみろよ。
本読んでたら、必ずと言っていい程の確率で睡魔に負けてしまう、あの智君がだよ?
しかもだよ、簡単な台詞ですら噛むし、それに何と言ってもパピプペポの破裂音は、キャスターとしては致命的でしょ?(^_^;)
ニュースなんて…絶対ムリに決まってんじゃん!
勿論不安に感じてるのは俺だけじゃあない。
当の智くんに至っては、自分の置かれてる状況が全く把握できていなという始末だ。
キャスターを任される、なんてこと寝耳に水もいいとこだ。
次第に涙目になっていく智くんの肩を、俺は暫く考えた後、ガシッと掴んだ。
「よし、今から特訓しよう!」
付け焼き刃でどうにかなるもんでもないだろうけど、何もしないよりはましだσ(-ω-*)フム
とはいえ、俺にこれといった対策があるわけでもないんだけど…(-ω-;)ウーン
「そこ座って?」
俺は智くんの肩を掴んだまま畳の上に座らせると、まずは首に引っかかっただけのネクタイに手をかけた。
やれやれ、この人は一体いつになったら自分でネクタイ結べるようになるのかねぇ…ε-(´-`*)
最早お母さんの心境の俺。
なのに智くんときたら…
「えっ、それだけはやめて? 僕まだ死にたくないから…」
…って、違うから!(>_<)
俺はネクタイから手を離し、だらしなく開いたカッターシャツの襟元に手をかけた。
ん?
ボタン一段ずつずれちゃってんじゃんか…( ´艸`)プップップッ