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【青の祓魔師】悪魔に落ちた瞳

第8章 開幕




『氷炎嵐!』



剣を振りかざした瞬間に、炎と氷が一瞬現れそこに突風が吹き荒れた。


風により粉々になった屍人。

その血が雨のようにフールに降り注ぐ。


そこにあったはずの教会や、今まで住んでいた家は吹き飛ばされていた。



『ハァハァ…終わった…』




皆を守るはずだった…


同朋は次々に倒れ


共に過ごした幼馴染みが目の前で息絶えた。


最後には母さんを手にかけ………。

あの賑やかな故郷の、景色はもう無くなっていた…


すべてを失ったフール。


あまりにも長がかった戦闘で、大量の屍人の血を浴びたフール。


澄んだアメジスト色の瞳は血のような深い紅に変わっていた。


うっすらと辺りが明るくなる。


パラパラと雨が降り始めた。


まるでフールの心を表すかのように。



守れなかった………


私は何も………


出来なかった…………



フールは力尽き倒れるように座った。


辺り一面血の海、人であった悪魔の残骸………

それはあまりにも多すぎる数だ。



フールのキメ細やかな白い肌の全身は血にまみれ


銀色の長い髪は美しいくらいに赤く染まり


彼女の頬をつたうその血は涙のよう


力尽きたその手からは剣がこぼれ落ちている。


どこか遠くを見つめたままの美しいほどに濃い深紅の瞳。



背後からそっと近づくメフィストはフールの前に手を差し伸べた。


「フール」



「フール………」



やっと気付いた彼女はゆっくりとメフィストを見上げそっと手をとった………


「…私と行きましょう。」



メフィスト…


微かな声でささやいた。


力尽きた彼女を横に抱き歩みだした。


腕のなかで疲れはて眠っていた。


…ありが…と…


彼女が呟いたように聞こえた。

眠る彼女を見つめ……その体の傷はすでに治りつつあった。






「ようこそ悪魔の世界へ。」








200年前、皆を助けようとしたが守りきれずに悪魔に落ちたフール。


あの時、力になれなかったメフィスト。

二度とこんな思いはさせたくない…と胸に誓い、悪魔としてフールを見守るため、共に正十字騎士団に入団した。


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