第8章 開幕
『ちょっとこれ…多すぎない?』
フールは腰に挿していた翼炎剣を抜いた。
「ですね…警備なんて楽勝なんて甘かったなぁ…」
フールのパーティは竜騎士、もう一人は詠唱騎士、
屍は詠唱で一気に消せる…問題は屍人ね…。
剣を構える。
『この時間の悪魔は手強そうね…。私は屍人を…あなたは唱えている彼を援護してね。』
「はい!」
…いくよ…!翼炎…
『炎舞』
剣に炎が纏う。
堰を切ったように屍人が一斉に動き出した。
敵の唸る声、銃声、致死節を唱える声が聞こえる。
その中を素早い動きで次々に屍人の急所を確実に貫いていく。
確実に数が少くなってきた。
「くそっ!屍のくせに…はぇな…………」
「………う!…わあぁぁ!!」
竜騎士の叫び声に気付き振り向いた。
『!?』
今まで詠唱していた彼が竜騎士に喰らいつき腕を噛み千切っていた。
「おまえ……」
『そんな…なんで…?』
ぐぐぐぅぅうぅ
噛み千切った腕を頬張りながらこちらを睨んでいた。
次々に屍人が襲いかかってくるから援護には行けない…
フールはすかさず水龍剣を取り出し叫んだ。
『ごめん!うまく避けてね!』
力を貸してね…水龍…
『龍霧』
辺り一面に霧が立ち込める。
…翼炎…
『業火』
その中を一気に火柱が上がったと同時に剣のような突風が吹いた。
悪魔たちの血が舞う風に乗り降り注いだ。
『…鎌鼬…』
屍人たちは一気に殲滅された。
残るは数体の屍人になった。