第20章 獅子島
拠点として向かったのはこの前の旅館。
血まみれの姿では入りにくいため裏口から部屋へと案内され入っていっていく。
メフィストのお気に入りレイヤーさんだと思っていたが亡くした旦那が元祓魔師だったとかなんとか…。
今はこっそりと祓魔師の負傷者を受け入れる臨時の拠点にもなっていた。
『いつもこの部屋が空いている理由はそういうことだったんだ…』
この前泊まった部屋とは別に個室が数部屋あることに気づいた。部屋付きの仲居….確かカミシマさん?も元祓魔師戦うことが出来なく医務官として、表は仲居として働いているらしい。
『ゆっくり休んで?明日はもっとハードになるだろうからここで休んでてもいいけど』
「いえ!行きます!微力ながら助けになるのなら戦います!」
『ありがとう。よろしくお願いします』
カミシマさんに軽く会釈をして怪我をしたイズミを任せ部屋を出る。
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中庭にでると辺りはうっすらと明るくなっている。
鳥は囀りだし穏やかな空気が流れる。
ポン☆
人間の姿に戻ったメフィストがフールの横に並ぶ。
「手配はしてきました。応援は昼には到着するでしょう。大丈夫ですか?」
『うん。明日、あーもう今日か。またあんなことが起きると思うと…ちょっとね?』
朝の明るさが加速を増して広がってくる。
あんなにも賑やかだった祭りの合間。
一時の静かな時間が流れる…
『………イズミを本当に殺さなきゃいけない場面が来るのかな…って』
「……彼に情が湧いてきましたか?」
「あの足手まといの男は屍人になる前に今、殺しましょうか?」
『ちょっと!メフィストなに言ってるの?』
「ククク……まぁその時か来て殺せなくなるようなら私が代わりに殺りますのでご心配なく。」
『メフィスト…大丈夫だよ……』
「無理をしないで私を頼りなさい。
大丈夫…あなたを守りますから…。」
『…………メフィスト…』
『さて!私も今晩に向けて備えなきゃ…』
「ハイハイ。私は使い魔として側に控えてます☆」
『ふふっありがとう』