第5章 就任
---203年前--- 20才
それから何日もたたずに、グランツ家の当主の就任となった。
小さな町だが、教会の中にはグランツ家の統括する周辺地域の有力な人物たちが集まっていた。
バタン……
扉が開き現れたのはフールの父。
ゆっくりと祭壇まで向かう。
「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。これからグランツ家の新しい当主の就任の義と共にご紹介をしたいと思います。フール、入りなさい」
参列者は一斉に扉を見た。
ゆっくりと扉が開し、そこに立つの新しい真っ白な祓魔師の正装に身を包んだフール。
ピンと伸びた背中、緊張しているのか少しこわばった表情でその責任を噛み締めるかのようにゆっくりと祭壇に向かって歩きだした。
凛としたその決意に満ちた表情はとても美しく皆が見惚れていた。
父の前に置かれた二本の剣グランツ家に代々伝わる双魔剣。
はるか昔にこの土地で暴れていた2体の悪魔。
それを静め唯一契約を結ぶことが出来た祓魔師がいた。
それがフールの祖先である。
封印をしないことを条件に双魔剣にお互いの力を宿し力を貸すことなった。
1つは火を司る不死鳥の翼炎剣。
1つは水を司る青龍の水龍剣。
これが、グランツ家が力の根元でもあった。
父は双魔剣を翳した。
「グランツ・フール、等教会の満場一致にて当主に推挙された。これからは当主として日々精進し、皆を導いてくれ。」
『はい、謹んでお受けいたします。当主として恥じぬよう全身全霊を捧げ精進いたします。』
翳された剣を受け取り、無事に式は終わった。