第4章 決意
その夜フールは1人教会の屋根の上にいた。
夕方に話されたことをずっと考えていた。
『私がグランツ家の当主かぁ………』
「よ?フール。こんなところでなーにしてんだよ?」
『ロイ兄さん……?任務帰り??…』
「まぁな」
現れた男はフールより5つ年上のバトエル・ロイ。
グランツ家のサポートする有力な家の跡取りであり、フールの幼なじみだ。
『うん…………ちょっとね…』
「親父さんのことか?」
『えっ?ロイ兄さん…わかってたの?』
「まぁあんとき一緒にいたしさっ。」
『…いつかは当主としてとは思っていたけどね。なんか…思ったより早いかな…って父さんがいるからまだ先だと思ってたんだよね。』
フールは苦笑いをしていた。
「フールが当主かぁーなんか変な感じだな。まーそうだよな…思ったより早いか…。心配するなよ。お前ならみんな文句ないぜっ!ちゃんとサポートもしてくれるだろ。俺だってついてるしなっ!」
『そう……かな。』
「そうだよ。」
夜の空には、雲はなく空から落ちてきそうなほど大きな月が、二人を照らしていた。
フールは黙ったまま月を見つめている。
……………………。
『…………よしっ!』
沈黙を破り、急に立ち上がったフール。
『私、頑張るよ!』
振り返り答えたフールは月明かりに照らされ、決意に満ちたその姿はとても美しかった。
「おっおぅ…///」
ロイは思わず目をそらし顔を赤らめた。
そのままの勢いで、家に戻ったフールはドアを乱暴に開けた。
『お父さん!お母さん!私、グランツ家の当主、やるよ!!』
父さんも母さんも答えはわかっていたらしく
「そうか…フール…ありがとなっ。」
父さんはとても嬉しそうに言った。