第1章 ぶるぅな奴らの日常編
終了のエンドロールが流れる。
翔ちゃんは何も言わない。
俺は...
黙って翔ちゃんの首に抱き付いた。
「何だよ...智..」
「翔ちゃん!!すげ~よかった!もう、マジで感動したし、清々しい気持ちになった!ホントに、いいドラマだったね!!」
上手く言葉にできないけど、
思いつくままにそう言ったら、翔ちゃんは、
「ありがと。智にそう言ってもらえて...何よりもうれしいよ...智に観て欲しかったからさ」
って。
痺れる低音が耳元で響いた。
...これは言わないつもりでいた。
なんでって?
そんなこと言っても...ってことだし。
言われても、翔ちゃん困るだけだし...
でも...
翔ちゃんの声に、全身が痺れて、思考が止まる。
そう。
丁度、甘い毒牙に刺されたみたいに...
「翔ちゃん...まさみちゃん...可愛い奥さんだったね...」
「え~?あぁ...まあ、そうだね~...」
「......」
「何なに??そんなの気にしてたの?もしかして、智の方が可愛いよ、とか言って欲しい、と..」
「子役の子...ホントに翔ちゃんの子どもみたいだったね...翔ちゃん...お父さんの顔、してた...」
「智...」
俺が言いたいことが分かったみたい...
翔ちゃんの顔が変わる...
「俺...俺じゃあ、翔ちゃんをお父さんにしてあげれない...」
「智..そんなの..」
「翔ちゃんは子ども大好きなんだ...ホントは、自分の子どもにって、夢があったんだ...だけど...
俺が相手だから...俺なんかが側にいるから...」
「智!!いい加減にしろ///」
翔ちゃんの大きな声が、部屋に響いた。
俺はビクッと首を竦めて固まった。