第9章 大好きのカタチ
たくさん言いたいことがあったのに、
悔しくて、悲しくて…
喉の奥が詰まったみたいになって、
言葉が出ない……
上から、雅紀と見つめ合う…
「………」
雅紀は俺を責めることも無く、
ただじっと見ている。
「……もお、いい…」
やっとそれだけ言って、
退こうとした俺の手首を、
雅紀が思いっきり掴んだ。
「は、離せよ…」
「イヤだ」
「な、何で…?」
「離さない」
「…雅紀…」
急に泣きそうに、顔を歪めた雅紀に、俺は言葉を失った
「離さないって言ったら…離さないんだよ~…」
潤くんは、少し離れたところから、
俺たちのやりとりをじっと見つめている。
「……お前が、どんなに離せ、っつったってさ…俺は…俺は絶対に、この手を離さない…そう決めたんだから…」
「だったら!!……だったらさ…なんで慌てて止めに来なかったんだよ?」
「だって……見たくなかったんだ…」
雅紀は俯いて、苦しそうな表情でそう言った。
雅紀……
「ニノが松潤と…っていうのもそうだけど、
ふたりが、3人で決めた約束っていうか、俺たちのルール…簡単に破ったんだって…
そう思ったら、悔しい通り越して、悲しくて…」
懲らしめてやろうって…
そう思って始めたことだけど。
こんな彼を見ると、胸が痛くて…
酷いよ!!って…
そう責めてくれれば、俺だって言い分があったのに。
そんな項垂れてると…俺…
「俺って、ふたりにとって、いらない存在なんだな~…とか思ってたら…」
「ちょっ、待てよ!誰がそんなこと…」
「だってそう言う事だろ~?
俺なんかいなくても…ふたりでいれば、それで…」
はあ~??
なんだよ、それ!?
人の気も知らないで、
自分ばっかり被害者みたいな顔しやがって///
雅紀の一言が、俺の…
わりと長めだって自負してる導火線に、完全に火を着けた。