第9章 大好きのカタチ
怖かったんだ。
本当のことを知るのが…
心のどこかで想像している1分先の未来…
『焦った~??』
そう笑いながら、リビングで俺を迎える二人の笑顔…
『驚かすなよ~』そう崩れ落ちる俺…
『そんな訳ないじゃん』
そう笑う松潤に、
『信じてないのかよ?俺たちのこと』
そう言って口を窄めるニノ…
どうか、そんな未来が待っていますように。
甘ちゃんの俺が、心の中に描く未来。
このドアを開けたら、
その淡い未来の夢が……
鍵穴に鍵を刺したまま、
暫く固まっていたけど、
そのまま帰ることも出来ない俺は、
勇気を振り絞って鍵を回した。
ガチャリ…
無機質な音を立てたドアを開けると、
妙に静かな玄関…
そして……
目を閉じて耳をすますと、
微かに聞こえてくるのは……
ネコのように甘えたニノの声…
それに重なるように響く低い声は…潤…
決定だ
間違う訳ない……
あの声は…
ニノのあの声は……
一刻も早く部屋に飛び込んで、二人を止めたい
そう思っていた俺は、
寝室にはいかずに、リビングに入った。
TVの前、電気はつけっぱなしだけど、
アイツがいつも握っているコントローラーは、
しっかりと片付けられていて……
その光景を見ながら大きなため息を吐いた俺は、冷蔵庫から『クリアアサヒ』を出してプルタグを引いた。
リモコンでTVを付けると、
画面には有吉さんが出てきた。
よく出てるよな~…有吉さん…
いくつ冠番組持ってんだろ?
翔ちゃんともすっかり阿吽の呼吸って感じで、
仲良しだし…信頼し合ってるって感じだよな~…
ぼんやりと、そんなことを考えて有吉さんを観ながら、二缶めの『クリアアサヒ』を開けたその時……
ドアが開く音がして、
ゆっくり振り返ると、
松潤が驚いた顔をして立っていた。
その後ろから、ニノがひょこっと顔を出した。
「雅紀……」