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こばると ぶるぅ【気象系BL】

第9章 大好きのカタチ


【雅紀side】

やっとニノのマンションに着いたのは、
あのLINEを見てからちょうど1時間後だった。

正確には、あのLINEのメッセを松潤が送ってからは、1時間22分…

そう……

10分と松潤が決めてから、無情にも、そんなに時間が過ぎていて。

ということは……

あのLINEが冗談じゃないとしたら…

ドッキリなんかじゃないとしたなら……

あのふたりは…


「お疲れ!ありがとね」
「はい、お疲れ様でした…あの、大丈夫ですか?」

俺が、余程悲壮感漂う顔してたからかな?
マネは、おずおずと言った。

「うん…大丈夫だよ。
ごめんね…急がせちゃって…」
「いえ…じゃあ、明日は、ここに迎えに来ればいいですか?」

どうかな?俺…どうなるかな?この後…

「…お願い…状況が変わったら連絡するから」
「分かりました。じゃあ、12時半に来ます」
「分かったよ…気を付けて帰ってね…」


マネの車を見送ってから、俺はエントランスに向かった。

あんなに焦っていたけど、
なんかさ…もう……

1分でも早く二人のところへ行きたいと、
そう思ってイライラしていたけど。

車窓から流れる夜景を観ているうちに、
もう、手遅れなんじゃないかな…?と…

俺の居ない二人っきりの時間の中で、
きっと、松潤は、ニノを……


『ドッキリなんかじゃない』

もう……分かっていた。

そして、それならば、この1時間22分という時間が、
その時間の経過が、何を意味しているのか…



ロックを解除し、エレベーターに乗り込む俺の脚は、足枷を引き摺るかのように重かった。


なんで……

どうして……


そればっかりが頭の中でぐるぐるしている。

今まで二人っきりでいても、
こんなことなかったのに…

信じていたのに……

どうして、
ニノは……


ニノの部屋の前に立った俺は、
暫くの間、その中へ入れなかった。

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