第7章 MJの憂鬱
「たっだいまぁ~!!お~い!!
ニノ~、松潤!凄いよ!大漁だよ~」
だんだん遠くから近付いてくる、
喧しい声は、雅紀だな…
気持ち良く眠っていたのに…
目を開けて隣を見ると、
ニノは俺の胸に頬を付けて、すやすや寝息を立てていた。
まだ、寝かしといてやりたいな…
俺はそっとニノから離れ、慌ててテントから出た。
桟橋から走って来る相葉くんが見えた。
俺は唇に人差し指を立てて、
雅紀に静かにするように合図した。
クーラーボックスを肩にかけて、
翔くんと相葉くんが並んで歩いて来た。
「ニノは?」
「うん…寝てる」
「疲れちゃったのかな?船乗って…
それより~、ねえねえ、見てよ!」
そう言って自慢げに蓋を開けると中にびっくりするくらい大きな魚が入っていた。
「凄いね!これ、ブリ?」
「松本くん、それはブリじゃなくて、ヒラマサだよ~」
相葉くんの後ろから、さあ出番だとばかりに、
大野さんが割って入る。
「ヒラマサ?」
「そう!あごの形が違うんだ。でもそれって分かりにくくて、素人は見分けられない。
一番パッと見で分かるのは、ヒラマサは~…
ほらこれ見て?胸ヒレが中央の黄色い線の上に乗ってるでしょ?
この胸ヒレがが中央の黄色い線から外れているのがブリなんだよ~…
ヒラマサの方が珍しんだよ!ブリは一般的な魚だからね~」
↑あなたは素人じゃないのね!?
俺たち4人は、ひとりでしゃべり捲る大野さんに、
呆気にとられたように、見つめるしかなかった。
こんなに長い文章を話す彼を、
今まで見たことがあったかな?イヤ、ない…
大きなヒラマサを前に、しゃべり倒す大野智を見ながら、翔くんをチラッと見ると、
彼は両手を上げて、お手上げポーズをして見せた。
こんな大野さんを見れただけでも、
来た甲斐があるってもんだよ…(^^;