第7章 MJの憂鬱
その日は朝からよく晴れて、
絶好のアウトドア日和だった。
俺たち3人は羽田空港へ向かった。
タクシーを降りると、待ち合わせの場所に翔くんと大野さんが来ていた。
「おはよ~」
「こっちから行こう」
5人でいるのも目立つけど、あらかじめ手回ししているらしく、一般客とは別の入り口に向かった。
岡山へは、JAL231便、一時間と少しのフライトだ。
ビジネスクラスのシートは、半分くらい埋まっていて、
俺たちは後方に、人目を気にせずゆっくり座ることができた。
「翔くんが飛行機予約したの?」
「いや、ちょっと事務所に頼んじゃった…
手配が簡単だからね…」
翔くんは、そう言って笑った。
その向こう側に座る大野さんは、もう目を閉じているみたいだった。
「夕べ遅かったの?」
「ん?智?」
翔くんは優しい眼差しで大野さんを見た。
「いろいろ必要なものを確認したり、
くじらじまのスタッフに最終の連絡取ったり、忙しそうだったよ~♪」
「そっか…」
「慣れないことして、疲れたんじゃない?
…松潤…思いっきり楽しもうな!」
「うん…」
本当は、今すぐにでも大野さんの事、
抱き締めたかった。
ありがとう…って。
初め乗り気じゃないとか、心配だとか、
大丈夫かとか、何か企んでるんじゃないかとか、
俺をだしに、翔くんと旅行行きたいだけじゃないかとか……
↑そんなにいろいろ悩んでたのね(^^;
疑ってたこと。
謝りたい……
こんなに頑張ってくれたのに…俺のために。
大野さんの寝顔を見て、何だか泣きそうになった。
すると、隣の相葉くんが、
俺の手を握ってくれた。
「思い出いっぱい作ろうね!!」
耳元でそう囁かれて、ますます泣きそうになって…
慌ててキャップを目深に被った。
俺たちの思いを乗せた飛行機は、
白い雲の上を、泳ぐようにゆっくり飛んでいった。