第7章 MJの憂鬱
嵐としてデビユーするって決まった時。
このメンバーなんだ…
そう思った。
それは、喜びというより寧ろ、不安の方が大きかった。
Jr.のとき、先輩のバックに着かせてもらってたから、
何度もグループ内で先輩たちが喧嘩したり、
揉めている場面に出くわした。
『そういうもんなんだ』
まだ子どもだった俺は、子どもなりにそう思っていた。
そんな風に意見をぶつけ合って、喧嘩して、
グールプとして立っていくもんなんだ…と。
だから、嵐としてこの5人でデビユーして、
あんなふうに喧嘩したり、激しくぶつかり合ったりできるんだろうか?
それも、俺の不安要素の一つだった。
なぜって、みんながみんな、
前に出たがらない人たちだから。
デビューして、そんな不安は全く必要なかった。
5人の中に、自分考えを他のメンバーに押し付けたりする人がいなかったから。
衝突が生まれるはずもない。
相手の意見に合わせて、出過ぎるようなことも無い。
『やる気がないのか?』
一見そう見えるような俺たちだったけど、
それが俺たちの形になっていったんだ。
お互いのことを思いやる気持ちを、
みんながいつも持っていた。
ちゃんと一人一人の存在を尊重しあえる、
自然と、そんな『仲間』になっていったんだ。
20年目を迎えようとしている今、
まさかこんな風になっているなんて…
ハワイでのあの日。
船の上で誓い合った俺たち5人が、
こんな形になっているなんてな~…
あの時の俺に、教えてやりたいよ。
「じゃあ、帰ろっか」
ニノが声を掛けてきて我に返った。
俺、ぼんやりしてたんだ…
見れば相葉くんもニノの後ろでニコニコしている。
「あ、うん、ちょっと待ってて…」
机の上に広げた荷物を、慌ててリュックに押し込んでいると、廊下から戻ってきた大野さんが、
「ちょっと、いいかな?
前に話してた松潤の誕生パーティーの事だけど」
来た!!
ドヤ顔で俺を見る大野さんの後ろに、
翔くんが立っていること、
俺は少し安心した。