第2章 見えない方が♡
俺は、中身は帰ってから智と見ようと思って、
そのままカバンに仕舞い込んだ。
今日、智は家で絵を描いているはず。
お土産に何か甘いものでも買っていこうと、
マネージャーにケーキ屋に寄ってもらった。
『あと10分で帰るよ』
車からLINEした。
車に乗り込んですぐ、信号でもないのに、
全く動かなくなり、
「事故みたいですね~…」
とマネージャー。
「マジかよ~。大丈夫かな~…」
俺は仕方なく、スマホをいじって時間を潰し、
マンションに着いたのは、1時間後だった。
「遅くなちゃって!大野さん、お待ちかねですよね~」
心配顔のマネージャーに、
「大丈夫、大丈夫!絵を描いてるときは、
時間なんか、気にしてないから…
じゃあ、お疲れ~♪」
俺はいつも通りにチャイムを鳴らしてから、
ロックを解除し、部屋に向かった。
玄関へ着くより早く、勢いよく開いたドアから、
智が飛び出してきた。
「翔ちゃん!!どうしたの~??」
「えっ?…どうした…って…」
騒がしいので部屋の中に智の身体を押し込みながら、
「どうしたって、何が?」
と聞いた。
すると智は、
「あと10分って言ったのに、全然帰ってこないから、
なんかあったのかと思って~///」
…あっ……そうだった。
車が動かなくなってから、智に連絡してなかった…
「ごめん…事故があって…車が…」
「はあぁ?事故??なんだよ~、そう言ってよ!」
「だっていつも、絵を描いてるときは、
俺が帰っても、気付かないくらいじゃん…だから…」
珍しく、智が俺の帰りを待っていたことに、
ちょっと嬉しかったけど…
智は、口を尖らせて、ご立腹の様子…
まあ、そんな顔も…可愛いけど(*^^*)