第5章 こうなる運命
【 雅紀side 】
俺の中で、ニノは可愛い弟だった。
Jr.の頃からずっと。
少し生意気で、でもどっか憎めなくて、
守ってあげなきゃって。
いつもそう思ってて...
それが、変な男たちに囲まれて困っているニノを見たら、頭の中でガラガラと何かが大きな音を立てて崩れた気がしたんだ。
髪の先から雨の粒を滴らせて、
ガタガタ震える小さな身体。
気が付いたら、もうそれを抱き締めて、温めてやることしか考えてなかった。
裸になって風呂に入って...
だから、何かしようなんて、その瞬間まで思ってなかったんだ。それは嘘じゃないよ...
温めてやりたいって気持ちが、
イコール、ニノのこと抱きたい...って。
そう気付いてしまったのは、ニノの唇を奪う3秒前。
至近距離で見た二宮和也が、あんまりにも可愛くて。
気が付いたらキスしてた。
俺って、衝動的にこんなことできるんだって、この瞬間に初めて知った。
拒まれたら、今までのニノとの関係が壊れてしまう、とか、嫌われちゃったらどうしよう、とか、
色んな不安要素は山盛りなのに。
そんなこと考える前に、動き出してたんだ。
突き放すこともしないで、そっと目を閉じたニノ。
調子に乗って舌を差し込んでみると、おずおずと、ニノもそれを絡めるように迎えてくれた。
......ダメだ。
もう後戻りできないよ、俺。
こんな状況から、『な~んちゃって』って笑える程、俺は大人じゃない...
目の前の、女の子よりも可愛らしいこの人を今夜...
俺は唇を離し、彼の目を見ながら言った。
「ニノが、欲しい...」
って...
ニノは何も言わずに唇をキュッと結んでいたけど、俺の首に両腕を巻き付けて来た。