私立忍高等学校おたすけ部だより(NARUTO現パロ)
第1章 1度は夢にみること。
放課後。
部活の見学に行くので一緒にどうかとサクラちゃんたちに誘われた。
少し前を歩いている彼女たちに駆け寄る途中、ゴミ箱を見かけたのでクッキーを投げて捨てようとした。
が、そのクッキーは誰かの手によって掴まれた。
「これ、いらないのか」
顔の中央あたりに不思議な線の入った男子生徒は、私の美味しくないクッキーをかざして見せた。
「美味しくないので、捨てようと思って」
ネクタイの色を見る限り、彼は私より上の学年らしい。
さらさらとした長めの黒い髪が美しい人だった。
というより、けっこうなイケメンにそんな美味しくないクッキーを捨てようとしたのを知られてしまったことが大分ショックで、私は更に落ち込んだ。
「それなら、俺が貰おう」
「……え?」
そう言うと、彼はあろう事かそのクッキーを鞄に入れてしまったのである。
さすがの私もそれには冷や汗をかいた。
「いっいやあの!甘すぎて美味しくないです、本当に!やめた方が」
「いや、甘いのは好きだ。安心しろ」
「いやいやいやそういうことじゃなくて」
必死に止めようとする私に反し、彼はしごく冷静に私の言葉をかわしてしまう。
遂に折れた私は、もう知らない……という気持ちになり、クッキーを彼に差し上げることにした。