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スノーマン 【短編】

第1章 そばにいたいよ、願いを叶えるために。。。


ーーそばにいたいよ。


またこの声が、言葉が聞こえた。


『あら、まだ役目は終わってなかったか』


僕はまたあの道を雪を踏みしめながら、静かにゆっくりと歩き始めた。



ーーーーーーーーーーーーーー



また1人ポツンとブランコに乗る黄色い帽子の少年。また下を向いて震えていた。



「お母さんにごめんなさい、言えなかった?」


彼の前にしゃがみ込み、涙に濡れた顔を覗く。


少年は横に激しく首を振って、手袋のしていない手をぎゅっと握った。


「お母さんにちゃんと言ったよ!…でもね僕お母さんに嘘ついちゃったんだ!

お母さんは嘘が大嫌いなのに、僕お母さんに嫌われちゃう!」


そう言って少し声をあげながら泣き始めた。

小さな背中を更に小さく丸めて今にも消えてしまいそうに儚い。


その背中にすっと手を伸ばしたが、すぐにその手を下ろした。


ごめんね、僕はこんな手じゃ君の背中も頭も撫でられない。


僕はとにかく彼が泣き止むのを待つしかなかった。


「ねぇ、名前教えてくれない?」



いきなり核心に触れるのもなんだったので手始めに名前を聞いてみた。


「東雲 優太 (しののめ ゆうた) です」


「優太くんか…じゃあ優太くんはなんで嘘をついちゃったのかな?」


「僕、聞いちゃったの。『優太は本当は優しいのになんでお友達出来ないのかな』ってお母さんとお父さんが話してるの。

だからつい友達たくさんいるって言っちゃった。

その方がお母さん喜ぶと思って……」


でも今は後悔してる…そんな感じか。



「嘘ついてごめんなさいって言ってみたら「ーそれじゃダメなのッ!」


優太くんは急に顔を上げてこちらを見た。

何かに怯えてるような、不安げな顔。



「心配かけちゃダメなの。…いい子でいなきゃ」


お母さんに嫌われるのを怖がってる、この子は母の温かな愛情に飢えているのだ。


「ならこの冬の間になんとかしよう!」


「それじゃ遅すぎるんだっ!お母さんが…前に…あ、もうこんな時間…。僕、帰らなきゃ」


そう言って彼はブランコから立ち上がり、また1人でトボトボと歩いた。


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