第1章 そばにいたいよ、願いを叶えるために。。。
ーーそばにいたいよ。
ふと、願う声が聞こえた。
『もうそんな時期なのか…。動き出さなきゃな』
僕は大きく伸びをしてから冷たい冬空の下、積もっている雪で音を立てながら歩いた____。
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「○○く〜ん、遊ぼうよっ!」
「いいよ、○○ちゃん!雪合戦だぁ!」
小さな子供が雪で遊びながら、可愛らしい声を上げている公園。
見ていてとても微笑ましく感じる。
少しの間見つめてから、視線を真後ろに移す。
冬場はあまり人気のないブランコ、そこに1人の男の子が座っていた。
少し大きめの防寒具に手編みと思われる黄色い帽子の少年。肩が小刻みに震えていた。
「君は一体こんなところで何してんの?」
優しく声をかけたつもりだったが、ビクッと大きな反応をした彼は顔を上げた。
その瞳は大きな涙の粒で濡れている。
「どうした?1人なの?」
繰り返し質問をしたら、彼は袖で涙を拭ってコクンと頷いた。
「そっか…隣いいかい?」
またコクンと頷いたので隣のブランコに座る。
子供用の小さいブランコ、積もった雪。
窮屈だし、足は雪に埋まるし…。
なんて思いながら僕は少年を見つめる。
「聞いてもいいかな?…泣いていた理由」
「…あのね、僕のお母さん閉じ込められてるの」
そう思った訳は少年が見つめる方を見たら事情は分かった。
視線の先は公園の向かいの大きな市立病院。
「お母さんに会えないのが寂しくて泣いてたの?」
「それもあるけど…僕がいい子にしてなかったからなんだ」
そう言って彼はポツリポツリと話し始めた。
3日前、彼は小学校で友達とケンカをしてしまったらしい。それで友達に怪我させてしまい、彼のお母さんは学校に呼ばれた。
それで先生とお話ししている最中に急に倒れて、病院に運ばれてしまった。
だから自分のせい…そう考えている。
「大丈夫、もし今からお母さんに会えるのならすぐに行ってあげな?それで自分の気持ち伝えるんだ。「ごめんなさい」って言えるよね?」
「うん、僕言えるよっ!ありがとう」
そう言ってその少年は病院へと走っていった。
「これで今年の役目は終わりかな…」
僕もブランコから立ち上がりながらそう呟いた。