第6章 空島への道
「おい………きろ」
暗闇の中、微かに誰かの声が聞こえた。
レンは意識がハッキリとしないまま、重い瞼をゆっくりと持ち上げた。
「やっと、起きたか」
声の主に目だけを向ける。
するとハッキリとしていなかった意識が、霧が晴れるように目覚めていく。
レンは驚きのあまり、がばっ!と起き上がるとこの狭い場所のせいか、声の主と額同士がぶつかる。
『いっ!!!!』
突然の衝撃に、額を抑え少し涙を浮かべる。
ぶつかった相手も額を抑えていた。
「いってェー。急に起き上がんなよ!」
『ご、ごめんなさい。でも何で、ゾロが?』
レンの目の前には、先程までいる筈のなかったゾロの姿があった。
そう、私は今ビーチではなくゴーイング・メリー号の展望台にいた。
「あァ?お前が行ったっきり、戻ってこねェからだろうが」
『……………』
私はまたこの石によって"飛ばされた"のだろうか。
まぁ、そうとしか考えようがないのだが…
ただエースに別れの挨拶も、何も言えなかったことが心残りだ。
せめて"元気でね"とだけでも言いたかった。
「おいっ!」
『えっ!あー、心配して来てくれたんですか?』
「言ってねェよ!!」
ゾロのツッコミが飛ぶ。
「お前ここで何してたんだよ」
『何してたって…見張りです』
「ウソつけ!寝てたじゃねェか!!」
『それは、まぁ、不可抗力ってやつです。では!』
立ち上がろうと膝を立てる。
「おい、何処行くんだよ。」
『ちょっと、お風呂に行ってきます。見張り、代わりにお願いしますね』
そう言うとレンは立ち上がり、展望台から降りようと縄ばしごに足をかけた。
ふと、ゾロに呼び止められる。
「おい」
『ん?』
「………いや、なんでもねェ」
『そう、ですか?』
レンは少し気になりつつも、縄ばしごをつたい下に降りた。