第3章 新たな出会い?
「じゃあ、そうね。一年。一年間みっちり鍛えてあげるわ」
『一年!?』
「何言ってんの、これでも少ない方よ!…ただし、一年間鍛えてあげる代わりに、この店の手伝いをしてちょうだい!!」
『!!…そんなのでいいんですか?』
「女に二言はないわ!」
『男、ですよね?』
「失礼しちゃうわ!見た目は男でも、心は乙女よ!!」
そう言ってケインは頬を膨らませ横を向く。
しかし、目が合うと二人同時に吹き出した。
「フフッ…じゃあ、これで契約成立ね!これからよろしくね!それと、ケインで良いから」
『よ、よろしくお願いします!ケイン!』
「そうと決まったら、ビシバシ行くわよ~!」
そう言って、二人は握手を交わした。
「この部屋、使っていいわ」
お店の二階は部屋が幾つかあり、そこで寝泊まりしているそうだ。
私はその部屋の一室を貸して貰らう。
『何から何まで、すみません』
「なに言ってんのよ!これくらいどうってこと無いんだから。あまり気を遣わないで」
次は…とケインが移動しようとしたその時、レンはやはり何故自分にこんなにも優しくしてくれるのかが気になり出した。
『ケイン!』
「ん?」
『やっぱり、何で初対面の私にこんなに親切なのか…その気になって』
そう聞くと、ケインは息を吐きながら壁にもたれかかる。
「だから、私はお節介なの。まだお嬢ちゃんのあなたは遠慮なんかしなくていいの!かくいう私も小さい時は色んな人に助けてもらったんだから」
ケインは少し寂しそうな顔をした。
「ま、今はもういないんだけどね。だから私はその人に返せなかった恩を、その分あなたに返してるってだけ」
『ケイン…』
「ハイハイ、この話はお仕舞い!これからお店の準備もしなくちゃいけないんだから。あなたのその動きにくそうな格好も変えなくちゃね」
といつもの調子に戻ったケインに急かされるように手を引かれる。
『はい!』
私はこれからの期待を胸に抱き、歩み始めた。