第1章 夢ですかね?
「ところでおめー、名前なんて言うんだ?」
『天宮レンです』
「そっかレンだな!よろしく!!おれはモンキー・D・ルフィ!」
そう言って小さなルフィは、満面の笑みを浮かべた。
時は遡り…
◯◯◯
『あぁ~、ダメだ。気持ちわるい…』
「そこのベッド使って。一時間経ったら起こすから、それでも気持ち悪かったら家に帰りなさい?」
『ありがと~、あゆみ先生、凛、かえでー』
「後で迎えに来るからねー」
『うん』
凛に力無げに手を振り返す。
「くたばるなよ!」
「いや、これくらいでくたばらないでしょ?!」
『I'll be back!』
「レンちゃんも何言ってんの?!」
「コントをここでしない!…早く行かないと次の授業遅刻するよー」
「「はーい」」
私は現在保健室にいる。体育の授業後気分が悪くなってしまい、友人の凛とかえでに連れてきてもらったのだ。
あ~、寝ていられるのも一時間だけか。
まぁいいや寝よう。
そうして私は一瞬で意識を手放した。
「……お………き…!」
「…お……きろ!」
…誰か呼んでる?
「おい!起きろ!」
顔の近くから聞こえてくる声に、レンはうっすらと目を開ける。
『んー、ルフィ?』
「おぉ!やっと起きたか!あれ?何でおめー、おれの名前知ってるんだ?」
『ルフィ!?』
目の前に『ONE PIECE』という漫画に出てくる主人公の突然の登場に、私は飛び起きた。
「うぉっ、急に大きい声出すなよ。びっくりしたじゃねーか」
『あぁ、ごめん』
「てか、おめーこんなところに何で寝てたんだ?」
辺りを見回して見ると木や草がたくさんあり、私は体育着で地面に座っていた。
『いやいやいや。うん、夢ね。なんだ夢か~』
なんともリアルな夢だ。ルフィの声や姿がハッキリと見えるなんて。
「おーい」
『びっくりした。だって目を開けたら子どものルフィがいるんだもん。あ~……!!痛っ!』