第2章 マスターと青い石
私はそれを見届けると、アイスコーヒーを一口飲む。
「お客様、ちょっとよろしいですか?」
ふいに、声がかけられる。
声のする方を向くと、この店のマスターだった。
『えっと…何ですか?』
「今の話は、本当ですか?」
『話?』
「夢の話です」
『は、はい。もしかして、聞いてたんですか?』
「すみません。ふと、耳に挟んだもので…」
まぁ、静かだし。聞こえちゃったのは、しょうがないけど…まさか、話しかけて来るとは思ってなかった。
マスターもONE PIECE好きなのかな…
「よろしければ、お客様。これを差し上げます」
マスターから差し出されたのは、青い石のネックレスだった。
『いやいや、こんな高そうなものは貰えません!!』
「いいんです。 私が持っているより、あなたが持っている方が良さそうですから」
そう言って私に渡して来る。
『やっぱり、受け取れないです!』
「そうですか、ならしかたないですね」
マスターはあっさりと引き、元々いたところに戻って行った。
なんだったんだ…
「ごめんごめん、長引いちゃって」
『あっ、うん。大丈夫だよ』
電話を終えたかえでが戻ってきた。
その後私たちは、残っていたアイスコーヒーを飲みほし、会計を済ませた。
そして今日の下見は終わりということで、二人は解散した。
◯◯◯
『ただいま~』
持っていた鍵を使い、ドアを開けて入る。今日は、あのうるさい兄はいないようだ。
ちなみに私の両親は、まだ仕事中だ。
私は制服を着替えるために、靴を脱ぐと2階の自室へと籠る。
『今度は、三人で行けるといいな~』
と呟きながら、制服を脱ぐ。
すると、何やら落ちた音がした。下に顔を向けると、そこにはあのマスターが持っていた青い石が落ちていた。