第1章 王子、恋を知る。
やっぱりやり過ぎだ。
彼女がバスルームで寛いでいる間に、僕はまたカミラ姉さんの元に訪れ、彼女の服を見繕ってやるようにとも頼んだ。
そして、ふたりが部屋から出てくるまで僕は外にいた。
未だ疑心暗鬼なままの臣下や兄さんもいたけど。
やっと出てきたふたり……カミラ姉さんはにっこりと微笑んで、彼女は少し引き攣った笑みを浮かべている。
そのふたりを見て、僕と兄さんも思わず顔が引き攣った。
臣下ふたりは何を思ったか、おお……と感心していたが。
やり過ぎだ。
昼子side……
風呂から上がると、着替えが用意されてなかったのを思い出して途方に暮れた。
が、その必要はなかった。
「あら、あなたがレオンの言っていた子ね」
暗夜王国第一王女のカミラが、脱衣所で待っていたのだ。
「あなたは……」
「私はカミラよ。それより、そんなバスタオル1枚じゃ可哀想ね。ほら、こっちに。
早く髪を乾かして、綺麗なお洋服を着ましょうね」
されるがままに、私は彼女にドライヤーを当てられている。
手際の良さと私を受け流す早さに驚いてしまう。
王女にドライヤーを当てられるなんて、貴重な経験すぎて頭が破裂しそうだ。