第1章 姫、木ノ葉におはす。
男子は力強く、真っ直ぐに暗器を飛ばすものが多い。
そのためか、外れるか当たるかが白黒はっきりしている。
女子の場合は力強さには欠けるが柔軟性に長け、暗器がカーブを描いて的に当たる者が多数見られた。
その反面、的をかすって外れたりするケースもある。
両者ともどもいい勝負だ。
最後に、今まで観察をしていた花が名前を呼ばれた。
男子の真似をして真っ直ぐ投げてみようか……。
しかし、力が足りないで的へ届かないとなれば、あまりにも惨めだ。
だからといって、他の女子のように柔軟性があるかと言われればそうでもない……
悩んだ結果、当てることのみに注意を当てて投げるにした。
と、隣の的の中央にストッと刺さった手裏剣。
感嘆の声を漏らしながら隣を確認すると、今朝修行をしていた少年であった。
(なるほど、さすがじゃな)
これは負けていられない、と気合いの入った花であったが、投げられた手裏剣は的に到達する前に減速をし始める。
誰もが失敗だと思ったとき、それは起きた。
更に、その些細で奇妙な出来事が、これからの花の運命を変えることになるとは、そこにいた者全てが知らないのだった。