第1章 はじまり
仕切りがされているスペースに入り着替えをする。
さすが高身長男子。
普通の半袖のTシャツは5部袖のシャツワンピ状態。
下着が見えないようにと腰に巻いたジャージも膝裏が隠れる長さ。
脱いだ服を持って外に出れば先に着替えを終えた灰羽くんが医務室の備品で淹れたコーヒーを渡してくれた。
マグカップの暖かさにふ、と息を吐く。
猫舌なのでちびちび飲んでいると、視線を感じる。
視線の主が誰か、なんてわからないわけがない。
「どこ見てるのよ、灰羽くん。」
びくり、と体を跳ねさせ顔を真っ赤にする灰羽くん。
「えっ!だって俺だって男なんですから見ちゃいますって!」
そう。
見ていたのは、Tシャツから覗く太もも。
足を組んでいるから余計に気になるようで、そこに視線が釘付け。
バレないと思っている方が不思議。と言う状態。
「残念。私、年下には興味ないの。」
そう、突き放すように言えば、今まで笑ったり困ったりところころ表情を変えていた灰羽くんの表情が、止まった。