第5章 平穏な、日々
地下の駐車場で孝支と合流。
孝支の運転で向かったのは日本一高い電波塔。
孝支とは来たことないな。
そう考えていれば、孝支が私の腕を取りずんずんと進んでいく。
「こっ…孝支?どこ行くの?」
「まだ内緒。ほら行くべ?」
そう行って連れてこられたのは5階の水族館。
チケットを買って入るとそこはもうキラキラの世界。
水族館の雰囲気と離されることがない手にいつも以上にどきどきして、それが無性に楽しい。
最初は引っ張られていた手も、途中から自ら手を引くまでに。
特に大水槽の透き通る青と、光に反射する魚のキラキラが印象的だった。
出口近くにあったグッズショップ。
そこにあったマグカップがすごく手にしっくりきて、購入意欲が湧いた。
早速箱を手に取ると横の孝支がするりとマグカップを奪い取りすたすたとお会計へ。
「孝支⁈自分で…」
「今日のデートの記念。たまにはいいべ?こういうのも。」
なんて言いながら孝支は近くにあるお土産のお菓子を手に取り一緒に会計に持って行く。
「ありがと…」
孝支の背中に小さくつぶやけば、孝支は会計へと足を向けながら私に手を振った。
買ってもらったこと、心遣い。
様々なことが嬉しくなって、私は孝支の腕に自分の腕を絡ませて歩いた。
そんな姿を見られていた。
私はその事実に全く気付いてはいなかった。